誰でも画像編集をプロレベルに!Photoshop新機能「ジェネレーティブ塗りつぶし」
Photoshopに新たに追加されたAI生成機能「ジェネレーティブ塗りつぶし」をご紹介します。
これまで時間をかけて行っていた画像加工作業が誰でも簡単に出来るようになり、しかも仕上がりはハイクオリティというすごい機能です。
目次
■「ジェネレーティブ塗りつぶし」とは?
「ジェネレーティブ塗りつぶし」は、Adobeが2023年5月23日に発表したPhotoshopの新機能です。
※現在はPhotoshop(Beta)のみで使用可能。
Adobeの生成AI(Adobe Firefly)を用いてオブジェクトの生成や削除ができる機能で、
元々似た機能で「コンテンツに応じた塗りつぶし」が存在しましたが、精度がまるで違います。
この写真の後ろの人たちを「コンテンツに応じた塗りつぶし」「ジェネレーティブ塗りつぶし」でそれぞれ消してみます。
これくらい完成度に違いが出ます。
また「プロンプト」と呼ばれる命令文を入力することで、特定の画像、オブジェクト、テクスチャなども生成することが可能と、できることの範囲も広がりました。
■使い方も簡単!
使い方も簡単で、画像を開いて以下の手順で進めるだけです。
1.任意の範囲を選択する
2.コンテクストタスクバーから「ジェネレーション塗りつぶし」を選択
3.プロンプトを入力し生成をクリック(プロンプトなしでもOK)
4.新しいレイヤーで画像が生成される
■何ができる?
ジェネレーティブ塗りつぶしでは、主に以下のことが可能です。
- 画像を拡張
- 背景を生成
- オブジェクトの生成
- オブジェクトを削除
■画像を拡張
カンバスを広げたときにできる空白の部分を元画像の雰囲気に合わせて拡張してくれます。
■背景を生成
背景を選択し、任意のプロンプトを入力することで新しい背景を生成してくれます。
※この写真の場合「Office with computers(パソコンのあるオフィス)」とプロンプトに入力しています。
■オブジェクトの生成
追加したい箇所を選択し、プロンプトを入力するとオブジェクトを生成してくれます。
※この写真の場合「running dog(走る犬)」とプロンプトに入力しています。
■オブジェクトを削除
消したいオブジェクトを選択し、プロンプトなしで生成すると自然にオブジェクトを削除してくれます。
ジェネレーション塗りつぶしで生成された画像は新たなレイヤーとして追加されます。
上にレイヤーを重ねる形で生成されるので元画像には変化がない非破壊編集になっているので、生成部分を細かく調整・編集することも可能です。
また、1回につき3パターン生成されるため、その中から気に入ったものを選択することもできます。
どれも気に入らない場合は、再度生成することで新たに3パターン書き出されます。
上記の機能を活用すればいろいろなことに応用も可能ですが基本的な機能としては以上になります。
■WEB制作やECサイト運用でも大活躍
画像作品を作ったり以外にも、WEB制作やECサイト運用で日頃よく直面するような場面で活躍してくれそうです。
いくつか活用方法をご紹介します。
■加工された画像から元画像風に
以前に撮影・使用した写真を別の制作物にしようしたいのに元画像がすぐに見つからない…ということが稀にあると思います。ジェネレーティブ塗りつぶしでは、既存の加工済み画像から元画像(のようなもの)を生成できるので別の制作物に再利用できます。
■用途に合わせて背景を変更
イメージ写真に使いたいけど白背景の画像しかない、逆に説明画像に使いたいけど背景が邪魔、という場合にわざわざ別の写真を撮影しなおさなくても「ジェネレーティブ塗りつぶし」を使えばすぐに画像を用意できます。
■トリミングした際の余白を埋める
特にECだと作ることの多い正方形の画像。ですが元々の写真が長方形だとトリミングの際足りない部分がでてくることがあると思います。こういった場面でも隙間を埋めるのに役に立ちます。
といった感じでひとつ素材があればあらゆる用途に合わせて画像を編集できるため、
わざわざ新しく写真を撮影しなくても良くなります。そもそも撮影はもちろん、Photoshopでの画像加工など今まで知識や経験、作業時間が必要だった作業を誰でも簡単にできるようになったのはすごいですね。
■AI生成で懸念される著作権問題も解消
ジェネレーティブ塗りつぶしはAdobe Fireflyを使用しているため著作権問題を気にすること無く使用することができます。
Adobe Fireflyは最大手のストックフォト「Adobe Stock」から著作権者がAIの学習データに使用することを許諾した画像やオープンライセンスの作品、著作権期限切れになっているコンテンツのみを使用しているため、著作権のトラブルを解消しています。
※ベータ版の段階では商用利用することができませんのでご注意ください。
日本語のヘルプページには記載がないですが、英語版には以下のように記述されています。
Commercial use: You can create confidently, as Adobe Firefly is trained on Adobe Stock’s hundreds of millions of professional-grade licensed, high-resolution images, which helps ensure Adobe Firefly won’t generate content based on other people’s work, brands, or intellectual property. Content generated by Adobe Firefly in the Photoshop (beta) app is not permitted for commercial use. Commercial use will be allowed for content generated when Generative Fill is out of beta, which is expected later this year.「Photoshop User Guide」より引用
↓日本語訳
商用利用: Adobe Fireflyは、Adobe Stockの何億ものプロフェッショナルグレードのライセンスされた高解像度画像に基づいてトレーニングされているため、安心して作成できます。これにより、Adobe Fireflyが他人の作品、ブランド、知的財産に基づいてコンテンツを生成することはありません。Photoshop(ベータ版)アプリでAdobe Fireflyが生成したコンテンツは、商用利用は許可されていません。今年後半に予定されているジェネレーティブ塗りつぶしのベータ版終了時には、生成されたコンテンツの商用利用が許可される予定です。
正式版での実装が今から楽しみです。
使用可能な環境がある方はぜひ一度お試しください。